銀河のほとりで




桔梗の夜がふくらんでいく耳元で
本の頁をめくる音がする
もうなにも形容することのない闇の
切り抜かれた明かりの下に駆けてくるひと


知り合った主人公は
へそまがり
壜につめたミルク色の銀河を
どうぞわたしに持たせて

回転する影を黙ってみていた
月明かりの窓の外では
くさむらになくした靴が啼いている
初めてのことに呼吸を整えて
これから先も
変わってゆきたい
のびたりちぢんだり形を変える
わたしたちの持つ影は
宇宙の色


もがく指先に触れるものの正体を
いちどだって見たことはなかった


今夜出かけていくよ
鏡の丘をのぼって
冷たい夜のダイヤモンドが砕けてる
細く長い道を走って
そうしてふたりいつまでも肩を並べて
銀河のほとりで
話をしよう