かみのうえねっとの



そこにいるわたしを
他人のようだと言ったそのわたしこそ
気負うことのないわたしなのです

かみのうえ
ねっとのなか
ここにいるわたしは
わたしにとって見慣れたわたしで
けれど
ふだんのわたしとは別人だというそのわたしこそ
隠し事のないわたしなのです

わたしをしっているひと
わたしをしらないひと
わたしがそのままであるとかんじるひと
わたしがたにんのようにかんじるひと
わたしをみせてしまえるひと
わたしを
みせてしまえない
ひと

日常のうえ
せいかつのなか
発言するわたしのことばのとぼしさも
わたしのことばのくだらなさもたくましさも
ありきたりなわらいどころも
ここにつながっている
へいぼんな生き方そのままに
かみのうえ
ねっとのなか
けれど
わたしをたにんのようだと言ったそのわたしこそ
わたしはわたしであるとおもえるのです
わたしらしさは不可解だとしても
せいかつのうえもかみのうえも
おなじ匂いにくるまれて
いきている
そのことに
気付いていないのはどうしてなのか
そのことを
差し出せないのはどうしてなのか

わたしをちがうひとだと言ったそのわたしこそ
どこにもいないわたしそのものなのです
わたしのままのわたしなのです
ずっと前からそうだった

声を持つわたし
声を持たないわたし
たにんにかわるその瞬間はどこなのか
みえているわたし
みえないわたし
べつじんの入り口はどこなのか
口を結んでこころでおしゃべりをする
その奇怪なすがたを傍でみながら
遠のいていく

かみのうえ
ねっとのなか
いつわりはどこにでもあるだろうし
真実もたやすくあふれている
ラケットを持つ手で詩をかいて
料理をする手でわたあめをつづる
その境界線はどこなのか
わたしにはどこにも見えず異臭もしないのに

わたしをわたしじゃないと言いたげなそのわたしこそ
曲げようもないわたしなのです
生きていくわたし
そのものなのです