行き詰ったときには
たましいに問いかけてみる。

あたしの中にまるくなってゆらゆら揺れている、たましい。

ずっとずっと過去からやってきた
大先輩の、たましい。

なんにも語ってはくれないけれど
あなたが感じてきたことはあたしに伝わっているはずの、たましい。


気づきなさいといってる。


樹木だったころ
青虫だったころ
外国の少年だったころ
サバンナをかけた動物だったころ


聴きなさいといってる。


ちいさな自分に囚われないで
たましいに耳を傾けなさい。

もとめているものは
たましいが知っている。

ずっとずっと昔も
こうしてたましいに向き合ってきた自分がいる。

野を駆けて
たましいの足音を聴いたんだ。
雨水のようにこそばしく
いつも静かに時間を湛えていた。

あたしがいなくなっても
たましいは転がり続けてつぎの命へむかう。
あたしはもうなにも自分のことを覚えていないのに
たましいは覚えている。

たましいは大事な借り物なんだ。

血のつながりのない、あたしたちきょうだいは
ふしぎな絆でつながっている。
前世の兄さんたち
後世の妹たち
会うことはないのに、なんだかとても近い気がする。

聴いていて、たましい。
あたしのせせらぎを。

聴かせて、たましい。
あなたのうねりを。


ひとりじゃない、たくさんの声を。
つながっている温もりを。