革命の日


同じみどりいろをして
やわらかそうなあおむしにも
性格の違いはあるか

細やかな産毛の内密
昨日のあおむしには持たない
野望はあるか

その挑み方に
生まれ持った母の
違いは出るか
ならんだちいさな卵の中に
すでに決定づけられた運命は
あるか

このあおむしは
よく食べる
よく動く
タッパーの壁を登っては落ちて
キャベツを齧っては
裏側にまわり
すこし休んでは
外側にまわり
日に日に太くなってゆく

一匹目のあおむしは
まだ少し小さいままでさなぎになる決意をした
新しいキャベツには見向きもしないで

おまえはどうする
どこで決心をする
今のやわらかな時間を捨てて
革命の日をいつ決める

あおむしのあいだに出会いをして
おなじ頃にさなぎになって
越冬をして数ヶ月
春に羽を広げたとき
隣の蝶と恋をすることはあるかしら
あおむしだったころを覚えているかしら

野を飛んで
日を浴びて
あおむしの心臓のまま
あなたとレンゲの蜜を吸う
春はあるかしら

蓋をとり
青い部分のキャベツを差し入れ
くるりと丸まったあおむしを戻してやると
犬のようにくんくんあたりを確かめて
やがて動き出した

その全身運動で
思案している
わたしがわたしを作り直す日
ガラス張りのちいさな世界で一歩ずつ
革命の日なら
もう決めた


外は12月
ジョンの倒れた日の上を
あおむしはゆっくり進んでゆく