靴をはいて----ぽえざるに寄せて




                     どこか似ている魂を持った
                     知らないおんなやおとこのひとが
                     このドアを開いた先で
                     待ってくれているような
                     予感

                     切符がするりとベロを出す
                     その道の先を
                     面白そうに指し示している
                     暗いわたしの影があって
                     こわごわと目をこらしながら
                     その道の先から目が離せない

                     そうだ
                     わたしは
                     わたしの影に手を引かれて
                     ここまできたんだな
                     生きて笑うわたしは弱虫で
                     背中を押したのはいつだって
                     暗くはりついた影のほうだった

                     今度はわたしが
                     明るい日差しの中
                     おまえを連れて行ってあげなくちゃ
                     生きて笑うわたしのままで
                     胸をはって

                     どこか似ている魂を持った
                     知らないおんなやおとこのひとの
                     足元できっと見覚えのある影が
                     待ってくれているような
                     予感

                     連れて行ってあげなくちゃ
                     生きて笑うわたしが
                     靴をはいて
                     切符を買って