透明な羽




答えは
あたしの中に在る
あたしだけが持っている
誰にも干渉されない
誰も阻めない
自分で動かせる唯一の透明な羽
それが意思
(それが詩)

哀しむことはないよ
孤独なわけじゃないよ
それってすごくステキなこと

今あたしの背中で
羽化したばかりのトンボの羽のような
小さきものが
きっと揺れている
それは想像の羽音を震わせて
飛び出そうとする
どこかへ
雲の流れる水たまりを蹴って
空へ
生い茂る産毛の葉を蹴って
空へ
はだしで駆けあがる
光りのまぶしさ

あれは
想像なんかじゃない

哀しむことはないよ
孤独なわけじゃないよ
用意された天国へのはしごがあっても
あたしは昇らない
このちっぽけな一本の茎につかまって
見る空の
その尊い(なんて尊い)
光りのまぶしさ

かよわき羽音を研ぎ澄ませて
その瞬間を待っている