坂道



衆楽園前の長い長い坂道を
自転車でのぼる

辛くなったら途中で歩こうと決めて
歩けばいいと決めて
そうして
自転車から降りられない

立ち漕ぎをして
もったりもったりと前進する
歩くのと変わりがないスピードだけど
スピードは問題ではない
降りないこと が人生なのだ
あたしの宿題なのだ と
意地になって
坂を上っている

きっと最初から
のぼらなくなる日はもう近いのだ
こんな坂を見るだけで
歩こうと決めてかかるあたしは
すぐその曲がり角で待っている

だからあたしは
まっすぐ前だけを見て
坂をのぼる
ペダルを踏む
おかしいくらい若ぶって
あたしの薄い筋肉は泣いている
それでも
それでも
それでも

きっと最初から
のぼらなくなる日はすぐそこなのだ
あきらめてしまえば
今がそのときになってしまう
何に抵抗したいのかわからないまま
せめてあといっかい
せめてあともういっかい
ペダルを踏み抜く