プロフィール<雪編>

北海道生まれ。

雪を愛していた。
雪のないところには住めないと思っていたのに
結婚を機に雪の降らない関西へ来てしまった。
恋は盲目だ。

しかし雪がないという事は
こんなに生活が便利なのかと実感する。
(母は遊びに来るたび、関西での生活を羨ましがる)

雪を捨ててきた私には、雪の美しさばかりが残って
言ってみればそうだな
プラトニックな恋の思い出のような愛で方なんだろう。
実際は大変なことばかり。
だけど
あの美しさといったら、ない。

中学生のときは
初雪と残雪を小瓶に詰めて集めていた。
でも時間が経つと
ゴミが沈んでたりして
あまりきれいなシロモノではなかったのだけど
大事な友達にあげたりして・・・
迷惑だったろうな。


朝の雪も昼の雪も夕方の雪も真夜中の雪も明けがたの雪も
驚くほど表情を変えて、けれど
無口に積もる。

(なぜ黙ってるの)

目を閉じると
思い出の中にはいつも雪の道が静かに延びて
私は下を向いてポケットに手を入れてひとり歩いているんだ。
友達の部屋へいくときも
恋人のアパートへ行くときも。

寒くても凍えていても、雪はきれいだった。
シツレンした日も
無理矢理押しかけた夜も
どんなときも、私の真上から
雪は黙々と降っていた。

どんなときも
ただ
黙々と。

(忘れてないよ)


心のなかに雪が降り出すと
私は書きたくなるのかも知れないナ。


都合のいいノスタルジア
だとしても
うつくしい雪の思い出をもてた事は
私の幸福のひとつであり
心の財産のひとつだろうと思っている。