影法師




                       自分からはみ出した
                       影法師の部分にこそ
                       愛される要素が
                       つまっている気がして

                       手を伸ばすと

                       ひょろながい
                       もうひとりの自分も
                       わたしに向かって
                       手を伸ばしてきた

                       もしかしたら
                       同じ事
                       考えていたの?

                       地面の上に立つ
                       日に灼ける部分にこそ
                       愛される要素が
                       つまっているんじゃないかって

                       大事なものは
                       自分の外側にあるような思いを
                       情けない気持ちで ずっと
                       持ち続けてきた

                       手を伸ばす先は
                       空想ではなく
                       いまの自分であるはずなのに

                       そこ以外に わたしはおらず
                       そこ以外に
                       行き場はないのに